ハーブ図鑑

落ち込んだ気持ちを明るく照らす太陽のようなハーブ セントジョンズワート

こんにちは。JAMHA認定ハーバルセラピストのmarrieです。
日一日と温かくなってきて、ドラッグストアの入り口には花粉症グッズがズラリと並び、いよいよ本格的な春の到来を感じる今日この頃ですね。
この時期、花粉症にばかり注目が集まりますが、こんな季節の変わり目になんとなく気分が落ち込んでしまっている、そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか。今日はそんな落ち込んだ気持ちを明るくしてくれるハーブ、セントジョンズワートをご紹介します。医薬品とほぼ同等の作用があり、取り扱いに注意が必要なハーブです。

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ハーブ・プロフィール(セントジョンズワート)

学名 Hypericum perforatum

和名 セイヨウオトギリソウ

科名 オトギリソウ科

使用部位 開花時の地上部

主要成分 ヒペリシン、フラボノイド配糖体(ヒペロシド、ルチン)、ハイパーフォリン、タンニン

作用 抗うつ、消炎、鎮痛、殺菌

適応 軽度~中等度のうつ、季節性感情障害*1、不眠、月経痛、月経前症候群(PMS)、更年期障害、軽い創傷、やけど

夏に黄色い小さな花を咲かせる多年草です。
和名のオトギリソウにまつわる、ある鷹匠の兄弟の悲しい伝説があります。その兄弟は、鷹がケガをした時にこのオトギリソウで治療をしていました。とてもよく効く薬草だったので、他の鷹匠にはどの薬草を使っているのか内緒にしていたのですが、ある日弟がその名を暴露してしまい、怒った兄は弟を切り殺してしまいました。これがオトギリソウ(弟切草)の名の由来だということです。

夏至の日(聖ヨハネの日・6月24日)に収穫したものが最も治癒力が強いと言われており、この時期に収穫した花で浸出油を作ると、脂溶性成分ヒペリシンの赤色が鮮やかに出ます。このヒぺリシンと水溶性成分であるハイパーフォリンが、抗うつ作用を持つ主要有効成分です。

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暗く落ち込んだ心を明るく照らしてくれる「サンシャインサプリメント」

セントジョンズワートは、軽度~中等度のうつ症状をやわらげる効果が、科学的に確認されています。落ち込んだ気分を明るくしてくれる作用があることから、「サンシャインサプリメント」と呼ばれます。気分が落ち込んでいる、飲酒量が増えた、食欲がない、寝つきが悪い、早朝に目覚めてしまうなどの症状(これはほんの一例です)が1~2週間ほど続いている方には、その症状をやわらげてくれる可能性があります。(そういった方はうつ病の可能性がありますので、早めに医療機関を受診されるのが良いでしょう。) 生活に支障のある重度レベルのうつ病の方には、効果は無いと言われています。
PMSや更年期障害の不安やイライラなどの症状にも有効です。また、鎮痛作用が高く、軟膏を塗ると、月経痛やPMSの腰の痛みに役立ちます。
たんぱく質を固めてくれるタンニンを含むので、軽い傷ややけどに浸出油や軟膏を塗ると、炎症を鎮めて治癒を早めます。

セントジョンズワートは、日本ではハーブとして食品扱いとなっていますが、ドイツなどヨーロッパでは医薬品として流通しています。(アメリカではその効能は否定されているようです。) 医薬品ではないものの、ほぼ同等の効果を持つ、医薬品に限りなく近いハーブと言って良いでしょう。また、胃腸の不調や不眠、ヒぺリシンによる光感作*2などの副作用も報告されています。使用後は紫外線にご注意ください。

禁忌事項(必ずお読みください!)

他の医薬品の効き目を強めたり弱めたりする作用があります。以下の医薬品との併用は避けてください。

MAO阻害薬(抗うつ薬、抗パーキンソン病薬)
インジナビル(抗HIV薬)
ジゴキシン(強心薬)
シクロスポリン(免疫抑制薬)
テオフィリン(気管支拡張薬)
ワルファリン(血液凝固防止薬)
ピル(経口避妊薬)

※上記の注意事項は、特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会『ハーバルセラピストコース・テキスト第4版』に準拠しています。併用を避けるべき医薬品は上記の他にもありますので、セントジョンズワートを使用する際には、必ず医師にご相談ください。

ネイティブアメリカンが人工妊娠中絶薬として使用していたという歴史があり、また母乳を介して乳児にも影響を及ぼす可能性がありますので、妊娠中・授乳中の方も使用しないでください。

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活用法・内用

ティーや内用チンキとして。味は少し苦みがあります。不安を取り除くパッションフラワーとのブレンドティーが定番です。眠れない夜におすすめです。

活用法・外用

外用チンキ、浸出油、軟膏として。痛みをやわらげ、傷の治癒を促進します。浸出油は、マッサージオイルとしても活用できます。

作用が強いため禁忌事項がありますが、上手に付き合えば、きっと頼もしい味方になってくれるはずです。最近ストレスがたまってちょっと眠れない。そんな夜に是非、ティーをお試しください。

 

以上、落ち込んだ気持ちを明るく照らしてくれるサンシャインサプリメント、セントジョンズワートのご紹介でした。

 

*1:季節の変わり目などに身体のだるさを感じたり気分が落ち込む気分障害。

*2:皮膚につけた成分が体内に入り、抗体が作られ、紫外線に当たることによってアレルギーを引き起こす性質。

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